IFSについて書かれている日本語書籍①

内的家族システム(IFS)は、まだ公式トレーニングが日本で提供されておらず、IFSの英語の書籍は多数出版されていますが、日本語に訳されたものはまだありません(2020年11月時点)。
IFSについてだけ書かれているわけではありませんが、トラウマ関連の書籍で、IFSについて書かれているものを二冊ご紹介します。
今日はその①です。

身体はトラウマを記録する」ベッセル・ヴァン・デア・コーク著

トラウマ治療の先駆けである米国の精神科医ヴァン・デア・コーク博士の、トラウマ関連書籍の金字塔と言える本です。

まだ脳科学が発達しておらず、トラウマが正しく理解していなかった時代から、いかにして博士がトラウマ治療の世界を切り開いて行ったかというストーリーを読みながら、トラウマについて深く理解できるようになる、厚くて読了するには時間がかかりますが、素晴らしい本です。

この中の17章で、IFSについて書かれています。

(一部抜粋)

「IFSでは、各部分を単なる情動の一時的状態や習慣的な思考パターンではなく、独自の来歴や能力、欲求や世界観を持つ個別の精神システムと捉える。トラウマは、そうした各部分にさまざまな信念や情動を植えつけ、その信念や情動が各部分を乗っ取り、本来の有益な状態から切り離してしまう。一例を挙げよう。私たちには誰にでも、子供っぽいおどけた部分がある。だが虐待を受けると、こうした部分は最も大きく傷つき、虐待による苦痛や恐怖、裏切りを背負わされ、凍りつく。この重荷のせいで、そうした部分は有害な存在、すなわち、どのような犠牲を払ってでも否認しなければならない部分になる。そうした部分は、内側に閉じ込められてしまうので、IFSでは「追放者(exile)」と呼ばれる。」

訳がややわかりにくく、この書籍を読んだだけではIFSを理解するのは難しいかもしれませんが、日本語の情報としては貴重な一冊です。

IFSだけでなく、トラウマについて知りたい方は、まずご一読をお勧めします。